経済の成長や交通条件の整備に伴い、人・物・情報が各地を行き交い自由さと便利さを享受できるようになりました。個性豊かな地域性が国民の多様なニーズに応え合う可能性が広がったといえます。

　しかし、地方からの人材の流出と都市からの情報圧力という構図は続いており、個性的な地域文化の継承や発展は期待どおりには進んでいません。こうした状況にかんがみ、地方都市に根拠をおいて各地の地域づくりを応援する法人を設立することとしました。

　固有の環境をうまく活かした生活・産業事象の蓄積が地域文化だとすれば、食は最も捉え易い側面のひとつです。しかも、人々の共通する興味の対象でもあり、個性的であることが尊ばれます。

　国民への食料供給を担ってきた第１次産業地域では、担い手の減少や輸入食品との競合などに直面していますが、食生活や関連産業の中には様々な智恵が蓄積されています。大きく変化する時代の中で、それらを活かせる「かたちづくり」や「営みの再生」のために微力をつくしたいと念願しております。